ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「恋人たちの距離(ディスタンス)」

『がんばれベアーズ/ニュー・シーズン』に関して、いまだ恨みを抱えていたのでした。

05111301.gif


そんなわけで、リチャード・リンクレイター監督の旧作を借りて見たのです。

ワーナーのロゴに続き、岬先端にある灯台を意匠したキャッスルロックのロゴ。
キャッスルロックといえば、スティーブ・キングが創造した架空の街の名であり、『オーシャンズ11』で死んだフリも記憶に新しいカール・ライナー氏のご子息であるロブ・ライナー監督の出世作『スタンド・バイ・ミー』の舞台となった街の名であり、それにあやかってロブ・ライナーが自身で立ち上げた映画制作会社の名で、『恋人たちの予感』という傑作と誉れ高いらしいんですけど途中で挫折したのでホントにそうなのかいまだ判然としない映画が第1回作品だった会社で、そう考えると『恋人までの距離』って邦題、ちょいと似てる気がします(なんてもっともらしいこと書きましたけど、キャッスルロックの製作する作品は、最近の例では『ミリオンダラー・ベイビー』もそうですが、必ずしも恋人たちを予感させる映画ばかりではありません)。

物語は、ジュリー・デルピー扮するフレンチ娘とイーサン・ホーク演ずるアメリカン青年が、ウイーンの街を歩きながら夜明けまで語り合ううちに一夜限りの恋に落ちる、というシンプルなものです。時おり、すれ違う人々とのやりとりも印象的ですが、それよりも見目麗しい我等が<夜の天使>ジュリー嬢の仕草に見とれてしまいます。
イーサンと抱擁しあうとき、彼の体に回した手の指先がいわゆるジャンケンの「グー」のカタチになってるところが、なんとも印象的です。人体のパーツの中でも比較的雄弁である指先をあえて隠しているだけに、より一層その感情の昂まりが感じられるというか、接している腕の内側全体で対象を感じ取ろうとしているみたいというか、なんとも表現しがたいので一度抱きしめてもらいたいというか。

それにしても、あらすじはメロドラマによくありそうなものですけど、なんともアメリカ映画らしからぬアメリカ映画になってます。

特に音楽がかなり特殊です。
なにしろ、見ているこちらが耳にする音楽は、登場人物が耳にするものしか聞こえないんです。

通常、映画の音楽は3つに大別されます。

A.登場人物にも観客にも聞こえる音楽
B.登場人物には聞こえず、観客だけに聞こえる音楽
C.登場人物に聞こえているが、観客には聞こえない音楽

「A」はあえて説明するまでもないでしょう。
「B」はややわかりにくいかと思いますが、『スター・ウォーズ』の音楽を思い浮かべてください。例えば「ダース・ベーダーのテーマ」は我々の耳には聞こえますが、ダース・ベーダーの耳にそれは届いてはいません。もしかすると、撮影現場ではその音楽が流されていて、聞きながら役者が演技していたのかもしれません。あるいはその音楽を頭の中で鳴り響かせつつ役者たちは演技していたのかもしれません。が、あの映画を見た観客のほとんどは、「ダース・ベイダーのテーマ」を登場人物の誰ひとり聞いてはいない、という現実としては極めて不自然な現象を、つまり「映画ならではの約束事」を暗黙の了解として受けとめていたはずです。
「C」は『家族ゲーム』という作品を連想して、かなりレアなケースだと思われる方もみえるでしょう。しかし、例えば電車の中でヘッドフォンをしている乗客、あるいは、ノリノリで口をパクパクさせている対向車線の運転手を思い浮かべて頂ければ、それほど稀でもないとお判り頂けるかと思います。

現在製作される映画の多くは、1作品の中にその3つ全てが入っています。しかも、例えば「B」と思っていた音楽が実は主人公が走らせている車のラジオから流れいてた「A」だった、とか、主人公がレコードをかけたら音楽が流れてきたので「A」と思っていたらカットが変わって翌日になったシーンの冒頭でも流れていつのまにか「B」になっていた、というように、必ずしも独立しているわけではないこともしばしばです。また、『メリーに首ったけ』では、登場人物の傍らで演奏者が歌っているにも関わらず「B」という、「約束事」を逆手に取った作品もあります(しかも、最後にその演奏者のひとりが、ある登場人物の撃った流れ弾に当たって死んでしまい、そこで唐突に「A」になることで、自ら立てた「約束事」をも破るのでした)。

「A」しかない今作は、ハリウッド・メジャーの配給作品としては、極めて異質なのです(エンドクレジットに流れる曲だけは「B」と言えるかもしれませんが)。

ちなみに、「A」と「C」だけの作品は稀ですが、「B」だけの作品は多く存在します。あくまで記憶だけでちゃんと確認したわけではありませんが、前述した『スター・ウォーズ』の『帝国の逆襲』がそうだったはずです。

さて、今作ですが、電車内での会話の中で、ケーブルテレビの番組企画について、イーサンが語るところがあります。それを聞いたデルピー嬢が「そんなの見たがる人いるの?最後はエッチして終わり?」と茶化す「あるひとりの人物の生活を24時間見せ続けるドキュメンタリー」です。
それって今作の構造そのまんまじゃないか、と見終わってから気づいたのでした。


◆この記事にガッカリした方はランキングに清き一票あるいはこちらに怒りの一票を◆
スポンサーサイト

コメント

グー。

ジュリー嬢が話すこと。
「…私も昔はこうだったな」と感慨にふけりました。
今は老けていますが、昔はあんなことを考えていた時もありました。
…いやもちろん、容姿とかそういうことじゃなくて!

ラスト近く。
朝方の街を歩く2人。昨晩はTシャツをワンピースの中に着ていたはずなのに。
…したわね。

女の私から見てもムラムラするようなジュリー嬢でしたよ。

トラックバックありがとうございました。

  • 2005/11/16(水) 20:23:00 |
  • URL |
  • あむろ #y.6mc9WE
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

『ビフォア サンライズ』

ヨーロッパを走る列車。行き先はパリか?ドイツ語を話す中年の夫婦の喧嘩からこの映画は始まる。ジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)。近くの席の中年夫婦のケンカにうんざりしたジェシーは偶然セリーヌのそばの席へ。なんとなく意気投合した2人

  • 2005/11/16(水) 20:15:37 |
  • なんでもreview

映画『恋人までの距離(ディスタンス)』

原題:Before Sunrise列車の中、隣の夫婦喧嘩の喧噪から席を移ったセリーヌ(ジュリー・デルピー)、通路を挟んでジェシー(イーサン・ホーク)、ここから物語が始まる・・・。 出会いは、女性が積極的だ。現実にはないだろうなぁって思ったけど、女性のほうが積極的ならああい

  • 2005/12/23(金) 11:27:41 |
  • 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

≪ビフォア・サンライズ 恋人までの距離≫

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 ¥3,990 Amazon.co.jp (DVDレンタル@2007/10/09) 原題 BEFORE SUNRISE 製作年度 1995年 製作国 アメリカ 上映時間 102分 監督 リチャード・リンクレイター 出演 イーサン・ホーク 、ジュリー・デルピー 、アー

  • 2007/10/11(木) 11:50:08 |
  • ミーガと映画と… -Have a good movie-

『恋人までの距離(ディスタンス)』

<スーパー・ハリウッド・プライス1500円2007年APRIL>[DVDソフト]ビフォア・サンライズ恋人までの距離(ディスタンス)(期間限定生産)DVD題が『ビフォア・サンライズ』、劇場公開時のタイトルが『恋人までの距離(ディスタンス)』。ロマンス映画の分野で自分が一番...

  • 2008/03/14(金) 23:15:08 |
  • cinema!cinema!~ミーハー映画・DVDレビュー
トラックバックURLはこちら
http://nekohita.blog6.fc2.com/tb.php/116-c022e381
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。