ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

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『ニュー・ワールド』

日本語に訳すと「新世界」。
だからって、大阪が舞台ではありません。

06042701.gif



空を映して揺れる水面。
動いているのは、水なのか?それともわたしたち(カメラ)なのか?

緩やかに動く水面の奥に、水草が見えてくることで、動いていたのはわたしたちであり、また、わたしたちが深淵から浅瀬へと向かっていたのだとわかるのでした。

なんだか、ウチの記事に似つかわしくない表現になってますけど、それが今作のファーストカットです。
タイトルが『ニュー・ワールド』だからって、製作はロジャー・コーマンのニューワールド・ピクチャーズでなく、ニューラインです。寡作でありながらも巨匠扱いされてしまった、つまり興行的に成功の見込めないテレンス・マリックに撮らせるとは、『ロード・オブ・ザ・リング』でよほど儲けたんでしょうか。

そんな下衆の勘ぐりはさておき、今作では水が重要なモチーフであります。
冒頭はもちろん、その後に置かれたオープニングのタイトルバックのデザインも、アメリカ大陸の地図に川の流れを示す線が、まるであぶり出しのように広がってゆくさまになっています。
それはとりもなおさず、オープニングタイトル後の、旧大陸の人々が川を遡上することで新大陸を切り開いてゆくシークエンスとリンクしているわけです。

・・・と、4月中にここまで書いたのですが、その後、多忙により中断してしまいました。

記述予定していた内容を大雑把に書いておきます。

「水」については、エンディングのタイトルバックでも、同じデザインが使用されていたこと。また、エンディング間際でヒロインが側転、というかトンボを切る場所が、川のほとりだった。という辺りからもう少し言及してみるつもりでした。

ナレーションは小説でいうところの「地の文」に当ります。
「地の文」はその小説が採用している人称によって誰の語りなのか、誰の視点なのかを定義するものです。ハードボイルドによく見られる一人称であれば、それは主人公の語りで、三人称の場合は登場人物のいずれでもない、いわば神の視点です。最近の映画でいえば『ドミノ』が一人称のナレーションでした。三人称のナレーションは冒頭と最後にモーガン・フリーマンの声が響く『宇宙戦争』。ちょっと反則気味とはいえ『チャーリーとチョコレート工場』も間違いなく三人称です。
いずれにせよ、普通、映画ではナレーションする人称が途中で変わることはめったにないんですが、マリック監督は『シン・レッド・ライン』と同様にそんな約束事を敢えて無視したナレーションをつけています。
つまり、最初はその主体がコリン・ファレルなのに、いつしかそれがヒロインに移る、ということです。

また今作では、インディアンが登場する映画では必ずといっていいほど描かれるスピリチュアルな要素が、極力排除されていますが、それもナレーションでヒロイン自身の内面が語られることによるのかもしれません。

「ポカホンタスの伝説」は、未開の地の野蛮人がキリスト教の洗礼を受けることで文化的になる「教育的寓話」と、身分の違う男女を巡る悲哀の「メロドラマ」という、ふたつの側面を持つものらしいです。
「教育的寓話」は侵略する側の価値観でしかありません。マリック監督は「メロドラマ」の側面からこの題材を描いているわけですが、その「教育的寓話」をチクリチクリ刺してもいます。
例えば、クリスチャン・ベールに嫁入りしたヒロインの背後に使用人(奴隷的労働力)として雇われたインディアンを横切らせています。
あるいは、コリン・ファレルに向ってヒロインが「どうして色はあるの?」と問いかけます。そのセリフはふたりがロマンチックに語り合うシークエンスに置かれているため、詩的な表現ともとれなくもないんですけど、そのセリフをきっかけに、ファレルはインディアンの集落を、つまり、ヒロインの元を去ることになるわけですから、「色」とは「肌の色」と解釈せざるを得ません。

最後に、大雑把な文章なのでやや理論飛躍していると思われるかもしれませんが、今作のタイトル「ニュー・ワールド」はコリン・ファレルがナレーションする場面においてはアメリカ大陸であり、ヒロインがナレーションする場面ではイギリスを意味している気がします。

ジョン・スミスって今年の正月映画のブラピが演じたのと同じ役名なので、すごく胡散臭く感じてしまいつつ、なんだかとても痩せ細ってる記述で申し訳ありませんが、クイズです。

問1:日本にもいるマリックさんですが、テレンスのほうのマリックさんといえば?
 A.ハンド・パワー
 B.マジック・アワー

正解はこちらのランキングサイトに。

問2:今作のオープニングタイトルとエンドタイトルを手がけたのは?
 A.カイル・クーパー
 B.ゲーリー・クーパー

正解はこちらのランキングサイトに。


◆こんな記事を読んで頂いたのに、さらにお願いするのも申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、こちらのランキングに清き一票あるいはこちらに怒りの一票を◆
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コメント

インディアン

最近、映画に出てくる「インディアン」という言葉はすべて「先住民族」に置きかえられています。英語ではしっかりインディアンと言っているし、字幕の一部だけ塗り替えたら返って目立ってしまいます。
リンリンランランの「恋するインディアン人形」は廃盤になってるでしょうけど、もうテレビではお目にかかることがないのでしょうか。そして「インディアン・サマー(小春日和)」という言葉を必死で覚えた受験生は忘れ去らねばならないのでしょうか。
地元のカレー屋さん「インディアンカレー」は好きだったのになぁ・・・

  • 2006/04/28(金) 02:25:56 |
  • URL |
  • kossy #YaTS71PM
  • [ 編集]

新世界

>新世界(爆
えらい綺麗な新世界があったもんですな。
いやあ久々のマリック節、私は堪能しましたがいかがでしたでしょうか?
ところでkossyさんの仰っている「インディアン」の呼称の問題。
私は以前ナバホ族の大学の先生に聞いてみた事があるんです。
「インディアンとネイティブアメリカン、どちらで呼ぶべきですか?」
先生曰く、
「どっちでも良いよ。私たちはあくまでもナバホ。インディアンもネイティブアメリカンも外の人からの呼称だからね。日本人だってアジア人と呼ばれるのもモンゴロイドと呼ばれるのもどっちでも構わないだろ?」
というわけでインディアンでも良いそうです。
なるほどそんなもんですか。
どうも日本人は「政治的に正しい」と言われる言葉を妄信する傾向がありますが、本人たちの認識はそんなもんらしいですよ。

  • 2006/05/02(火) 01:51:36 |
  • URL |
  • ノラネコ #xHucOE.I
  • [ 編集]

ニュー・ワールドとは・・・

にらさん、こんにちは。
興味深く拝見しました。
勝手に英国側から見た「ニュー・ワールド」ばかりに気をとられていましたが、
コルセットで締め付けられた苦しい世界はポカホンタスにとっても新しい世界のはずですよね。
最愛のスミスさんもいなくなっちゃったし。

  • 2006/05/12(金) 01:27:08 |
  • URL |
  • ゆづ #G91RSZjw
  • [ 編集]

入植者の皆さまへ

◆ゆづさま
帰国前の急死は、イギリスの「水」が合わなかったせいかと思ってましたが、ギュウギュウのコルセットつけたまま、隠れんぼして走り回ったせいかもしれないですね。

◆ノラネコさま
「ブッシュマン」もそうでしたね。
たしかに我々はイヌをイヌと呼んでますが、イヌ自身は「おれはネコと呼ばれたい」と思ってるかもしれないです、って人の呼称をイヌと比べるのは侮蔑的かな?
いずれにせよ、実際にイヌを呼ぶときに「ワンちゃん」とか「ポチ、おいで」とか「タロー!ジロー!」と声を掛ける人は多いんですが、「イヌ」とか「イヌ、おいで」とか「イヌー!イーヌー!」と呼びかける人が滅多にいないのは、どうしてなのか不思議です。
やはり政治的要素がそこに介在してるんでしょうか。

◆kossyさま
幼少の頃、あるレストランで「お子様インディアン・ランチ」とあったので注文したところ、旗の代わりに羽根が立てられた以外は普通のお子様ランチが出てきました。
そんなものメニューに載せる店にも呆れますが、その羽根に喜んでた自分にも呆れてしまいます。

  • 2006/05/12(金) 11:20:56 |
  • URL |
  • にら(新世界管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

にらさんコメント&TB有難うございます

『映画と秋葉原とネット小遣いと日記』のhideです
にらさんコメント&TB有難うございます
(^_^;)にらさん、お忙しいようで大丈夫ですか。ご自愛ください
史実はチョッピリ、大部分、今回の抒情詩を奏でる。神話のような展開の物語と感じ、新鮮で良かったですね。その意味でクオリアンカ・キルヒャーは存在はイメージぴったりのキャストに感じました

  • 2006/05/13(土) 21:16:56 |
  • URL |
  • hide #GxAO5jdM
  • [ 編集]

hideさま

あの笑顔を拝むためだけでも、再見の価値ありですよね。

それにしてもクオリアンカ・キルヒャーって、日本人には覚えづらい名前ですこと(笑)。

  • 2006/05/19(金) 09:49:27 |
  • URL |
  • にら(管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

こんばんは。

まるでドキュメンタリーのような映画でした。
音や景色が印象的で…、物語は途中で記憶から飛んでしまってます。

  • 2006/08/03(木) 22:19:39 |
  • URL |
  • しましま #-
  • [ 編集]

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