ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

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『ブロークン・フラワーズ』

「ブロークン・ブロッサム」を訳して『散り行く花』とは見事ですが、『ブロークン・フラワーズ』を訳して「ウバ桜」とは失礼です。

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ジョニー・デップが演じた『デッドマン』の主人公の名がウイリアム・ブレイクだったり、『ダウン・バイ・ロー』のジョン・ルーリーとトム・ウェイツの役名がジャックとザックだったり、ジャームッシュの映画は、役名さえもツッコミがいのあるネタのひとつであります。
今作においても、ビル・マーレー扮する女たらしのドン・ファンである主人公の役名は、そのまんまドンなのです(しかも、「マイアミ・バイス」のというより個人的には『ホット・スポット』のドン・ジョンソンと一字違いである、ドン・ジョンストンというフルネーム)。
まるで『勝手にしやがれ』の「密告者は密告し、強盗犯人は強盗をし、恋人は恋をする」というセリフをそのまま踏襲しているかのように、名前が彼の行動を定義付けているのです。
その定義からは、主人公が最初に訪れる元恋人の娘も逃れることはできません。彼女の名はロリータですが、幼い彼女はその名の意味するところを知らぬまま、ジェームズ・メイソンでもジェレミー・アイアンズでもないビル・マーレーをナボコフの小説からぬけだしたかのような無邪気さで扇情します。
このシークエンスのロリータが登場するわずか数ショットから今作をPG-12とした(と思われる)映倫の連中は、なんと下品なヤツらでしょう。

かつての恋人たちの元を巡るという点で『舞踏会の手帖』の裏返しの物語ともとれますが、どことなくポール・オースターの小説のような感触もあります。
ともにニューヨークを拠点として活動している、オースターとジャームッシュ。そういえば、オースターの初監督作品である『ブルー・イン・ザ・フェイス』にジャームッシュがプラチナ・ブロンドの髪おっ立てて出演していました。しかも、タバコを巡る即興演出映画であるわけで、当然ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』を起想させます。

物語の大筋は、ピンク色の手紙したためられた謎を巡って、4人(実は5人)のかつての恋人の元を巡るロードムービーですけど、その旅を経ても主人公にも観客にも謎の答えは提示されません。それは、一人目の元恋人との再会を頂点に、四人目では問答無用に殴られ、五人目ではその墓前に泣き崩れるしかないという全体的な構造、または、各挿話における始まりと終わりでほぼ同じ風景を映し出すという閉じられた構造になっているからでもあります。
なので、旅を終えた主人公が最後のシークエンスで語り合うある人物も、その答えとはならないわけです。

提示された謎は解かれるべきたと思っている人にとっては、今作はとてもつまらない映画でしょう。
二人目の元恋人と会う挿話で、元恋人の夫に誘われた3人の夕食のシークエンスにおける、画面右にいる元恋人と画面左にいる夫のやりとりを画面中央奥で眺めるビル・マーレーの表情と視線の動きこそが、今作の面白さであるわけですから。
なので、そのシークエンスでは、ふたりのやりとりに目を奪われたり、その会話の字幕に集中し過ぎないように気をつけてくださいと忠告しつつクイズです。

問1:ドン・ジョンソンの元奥さん、メラニー・グリフィスが、モテモテ君として浮世を流していた旦那に捨てられないように気を惹くため、整形手術した箇所は?
 A.目
 B.胸

正解はこちらのランキングサイトに。

問2:今作が捧げられたフランスの映画作家は?
 A.ジャン・ユスターシュ
 B.ジャン・ルーシュ

正解はこちらのランキングサイトに。


◆こんな記事を読んで頂いたのに、さらにお願いするのも申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、こちらのランキングに清き一票あるいはこちらに怒りの一票を◆
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コメント

「ホット・スポット」エロい題

エロジジイ デニス・ホッパーの「ホット・スポット」もティーンヌードが鮮烈な映画でしたね~。
PG-12にせんでも、12歳以下が友達同士で見に行くとは到底思えんがな・・・。見に行ったヤツは「得した~!」って騒ぐやろけど。

  • 2006/05/17(水) 21:30:18 |
  • URL |
  • aq99 #-
  • [ 編集]

aq99さま

あの「ふさふさ」。
健全な12歳未満の男子諸君なら「ちょっとした儲けモノ」なのは間違いありませんが、日本男児として健全なるアニオタかつロリコンに育った方々にとっては「あってはならない汚点(点というより線の集合ですが)」かもしれませんね。

そういえば『ホット・スポット』の劇場公開は、「ふさふさ」そのものがカットされてるバージョンでした、というより、ビデオ発売時に「ふさふさ」がカットされてないことがウリだったとしておくほうが正しいか(笑)。

  • 2006/05/19(金) 11:01:44 |
  • URL |
  • にら(管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

PG-12はコレか!

こんにちは。
いきなりのロリータには目が点でした。
でも、若いっていいなぁー

  • 2006/05/19(金) 12:25:04 |
  • URL |
  • アイリス #-
  • [ 編集]

なんにもないのがいい

異常な設定の中で何もないと腹も立ちますが普通の状況で予測できる事柄をじわりと面白く見せるのがこの監督だと勝手に信じてます

  • 2006/05/19(金) 18:57:42 |
  • URL |
  • arudenteな米 #Rsd9606k
  • [ 編集]

アイリスさま

他に規制の対象になった要素として考えられるのは、

・1年の間に5人もの女性と付き合う無節操な人物が主人公だったから
・仕事もせずボーっとしてる社会適応性ゼロの人物が主人公だったから
・「ピンク」と聞いただけで過剰に反応をする人物が映倫審査官だから
・なので危うく『ピンクパンサー』まで規制の対象になるところだった
・そんな審査官と同様「ピンク」と聞きピクンと反応するのは誰ですか
・はい、それはわたくしです

  • 2006/05/25(木) 10:00:38 |
  • URL |
  • にら(管理ピクン人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

arudenteな米

予測できる事柄ながら、それを見せるタイミングとか構図とかが絶妙で、つい笑わされてしまうんですよね。

  • 2006/05/25(木) 10:09:33 |
  • URL |
  • にら(現管理人/旧ドン・ファン) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

コメントありがとうございました。
何気ないシーンの中にもクスリと笑ってしまうような部分があったりと楽しめました。
後からあれこれと考えて楽しめる作品ですね。

  • 2006/05/26(金) 12:05:56 |
  • URL |
  • かんすけ@シアフレ.blog #3LQmKElg
  • [ 編集]

ムッシュ

こんにちは。
確かに名前、ジャームッシュはそんなの多いですね。
ジャームッシュ自身が一番解りやすいヤツなのかもしれません。

  • 2006/05/31(水) 01:01:39 |
  • URL |
  • もじゃ #-
  • [ 編集]

こんばんは。

>提示された謎は解かれるべきたと思っている人にとっては、今作はとてもつまらない映画でしょう。
↑私はその一人でした。すっきりせず、モヤモヤでした。

  • 2006/08/03(木) 22:04:46 |
  • URL |
  • しましま #-
  • [ 編集]

視線が良かったですよね。
なんだか、かわいらしかったです。

  • 2006/12/19(火) 00:22:13 |
  • URL |
  • ひめ #-
  • [ 編集]

こんにちは

にらさん、復活されていたんですね!
1月中は、新作レビューにはお目にかかれないかと思っていました。
やっぱりにらさんのレビューを読まないと、一日が終わりません。(何日終わっていなかったんだ?)

また楽しいレビューがガンガン更新されるのを、楽しみにしております。

と、『ブロークン・フラワーズ』と全く関係ないコメントですが、やんわりお許し下さい。

  • 2007/01/27(土) 11:16:34 |
  • URL |
  • アガサ #-
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