ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

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『ありがとう』

震災のあの日、『日本沈没』の田所博士は、スゥエット姿で屋根に登っていたのでした。

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冒頭、プロ・テストのシークエンスで微妙に時系列がいじられています。しかし、赤井英和が両手を合わせて「ありがとう」を口にするやストップモーションになり、白い文字で「ありがとう」とタイトルが出たあと、震災前にさかのぼってからは、映画の時系列が入り乱れることはありませんでした。

今作は、古市忠夫という稀有な人の物語でありますが、やはり、当初の企画としては、1995年の阪神淡路大震災を描くことが主眼だったはずです。邦画には珍しいシネスコサイズが選択されたのも、間違いなく震災の恐怖を描くために違いありません(横長の画面いっぱいに並んだ家々がじわじわと炎に飲み込まれてゆくショットには、鳥肌立ってしまいした)。

これはあくまで冒頭にちょっとした時系列の乱れがあったことからの邪推ですが、もしかしたらシナリオが決定稿に至るまで、ケヴィン・コスナーの『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』のように、赤井英和がコースを回りながら過去を回想する形式の稿があったのではないでしょうか。
あの震災と、震災を生き延びた主人公が数年後にゴルフのプロ・テストを受けるという、まったくレベルの異なる物語を融合させるには、回想形式のほうが有効だったかもしれません。
しかし、もし回想形式だったら、寸断された回想により、あの震災の悲惨さまでも寸断されてしまったはずです。この夏公開された『日本沈没』のように名も知らぬ多数の誰かが死に逝くのではなく、隣に住んでるおばちゃんが、近所でパン屋をやってる消防団の兄ちゃんが、身近な誰かが死んでゆく悲惨さ。

回想形式という映画としてのもっともらしさではなく、あえて現実のイビツさを選択したのではないでしょうか。

いわゆる「映画」としての完成度はきわめて低い作品です。
それは、震災と、ある人物のサクセスストーリーの「イビツさ」だけではありません。
主人公を演じる赤井英和は声には説得力があるんですけど、セリフや演技の「間(ま)」が悪すぎるし、その妻の田中好子は、ただでさえ貧乏くさい顔をしているのに、その顔でカネの話しをするのでさらに貧乏くさいし。

にもかかわらず、最後までちゃんと見続けられたのは、人の動かし方や配置、そしてそれらを捉えるカメラの位置が実に適切だったからです。

仮設住宅でメソメソと貧乏くさい顔で田中好子が泣くシークエンスで、赤井を挟んで田中と向き合った娘ふたりが気まずそうにしているという家族全員を同時に見せる引きのショットや、時おり挟まれるアップが、決して奇を衒わずそこで何が起きつつあるのかをしっかり伝えています。
また、再建した自宅で繰り広げらけるシークエンスも見ていて飽きません。
それはおそらく、自宅のセットが素晴らしいからだと思われます。廊下をはさんで居間と台所兼ダイニングがあり、廊下の奥には2階へと続く階段があるだけの、決して豪華ではないどころか明らかにセットだとわかるセットなんですけど。
そのセットで、廊下に赤井がある決意を胸に水の滴るスポンジ片手に仁王立ちしている姿とか、廊下から階段に向かって行き階段の途中でふと足を止める田中好子の後姿とかもいいんですが、とりわけ、シチュエーションを変えて何度か繰り返される廊下に人を立たせて居間にいる人物と会話させるというシークエンスは印象的です。
シネスコ画面だからといって横方向だけでなく、奥行きもちゃんと表現している演出です。しかもそれを、狭い日本家屋でやっているわけです。
当ブログの管理人はこういうのをゼイタクだと感じてしまいます。手前に小西真奈美を置き、その後方の巨大な電光掲示板にCG映像を流す、というショットを撮るためNYのタイムズスクエアくんだりまで出かける映画は、その発想の貧困さはもちろん、そもそもその映画の冒頭に出てきたタイムズスクエアのシーンと同じ日にササッと撮ったであろうことがバレバレで、ちっともゼイタクだとは思えません。

と、気付けば他の映画の悪口になってしまいましたが、気分を害した本広克行ファンの方は、当ブログの管理人が風邪をひいて朦朧とした状態でキーボードを打っているためだと思ってください。
本広克行ファン以外の方は、当ブログの管理人は風邪を引いて朦朧としてはいますが本気に違いないと察して頂けたら、心の底から「ありがとう」と言わせていただくついでにクイズです。

問1:古市が挑戦したプロ・テスト。土砂降りだったのは何日目?
 A.最終日
 B.1日目

正解はこちらのランキングサイトに。

問2:プロテストといえばキリスト教のプロテスタントと混同してしまいそうですが、正しいのはどちら?
 A.カトリックは神父、プロテスタントは牧師
 B.カトリックは牧師、プロテスタントは神父

正解はこちらのランキングサイトに。


◆こんな記事を読んで頂いたのに、さらにお願いするのも申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、こちらのランキングに清き一票あるいはこちらに怒りの一票を◆
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コメント

田所博士

田所博士のシーンはとても印象的でした。
なんだか「はだしのゲン」を思い出してしまいました。
ヘリコプターで取材する報道陣も多かったのでしょうけど、一人くらい柴咲コウが乗っていれば救助活動もスムーズにいったのかもしれませんよね・・・

  • 2006/11/29(水) 19:05:27 |
  • URL |
  • kossy #YaTS71PM
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回想

にらさんこんばんわ♪TB有難うございました♪

『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』は観た事無いのですが、その作品と同じ回想形式にすると、震災の出来事を描いた映画というより全編通しでゴルフ映画に見えてしまいそうですね・・(^^;)
古市氏の体験を基にした映画でもあるので、やはりどうしてもプロゴルフのテストを受けるシーンを描かなければならないのは否めませんが、あまり端折らせず、前半の震災シーンのように本格的に見せて欲しかったのもありますね。上映時間はもう少し長くても良かったですし。

  • 2006/12/01(金) 01:15:18 |
  • URL |
  • メビウス #mQop/nM.
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こんばんは

>赤井英和がコースを回りながら過去を回想する形式の稿

聞いた話ですが、この映画編集がかなり難航して、完成作品はシナリオとはずいぶんと異なっている様です。
オリジナルはもしかしたらそういう形式だったのかもしれません。
というか、前後が全く切れてしまっている完成版よりそっちの方が良かった気が・・・

  • 2006/12/03(日) 23:57:53 |
  • URL |
  • ノラネコ #xHucOE.I
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似てます

淳、似てますよ。
ラストまで喋る悪意がこもったいい顔してます。
少なくとも私の中の淳はこんなんです。
放送は、なかったと思います。
ず~っと特別放送してた気が・・・。

  • 2006/12/04(月) 22:33:38 |
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  • aq99 #-
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こんばんわ。あっしゅです。
コメント&TBありがとうございます!

みんなで力を合わせて助け合う姿に感動しました。でもこういう震災を体験してみないと、本当の辛さはわからないものです、、、。日本に居る限り明日はわが身ですね、、、。

  • 2006/12/07(木) 22:24:52 |
  • URL |
  • あっしゅ #-
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グリコのキャラメル

震災から立ち上がり、還暦プロゴルファーに。フィクションだったら、こんなつまらないストーリーは、ない。しかし、これが事実の物語のために、1粒で2度おいしい、2つの味わいの作品。1本で2本の映画を楽しめました。
(TB2回つけてしまいました、ゴメンナサイ。お手数ですが、1件削除をお願いします。)

  • 2006/12/13(水) 23:06:31 |
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  • skywave #-
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ありがとう

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ありがとう

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  • 2007/01/17(水) 15:45:30 |
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