ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『蒼き狼 地果て海尽きるまで』

新しい角川映画用語辞典

【構想27年!】
「これをネタにした映画が見たいなぁ」と脳裏にチラリと浮かんでサッと消えたのが27年前、という意味。


『パフューム ある人殺しの物語』ってのも尻の穴が痒くなりそうですけど、今作も、なんとも居心地の悪いタイトルになっちゃってます。
しかも、井上靖への謝辞というかクレーム対策の文章を、すごく小さな字でエンドロールも終わった一番最後に入れてます。しかも全文読み切れないほどのわずかな尺しか映してません。
そんなことするくらいなら『蒼き狼』なんて付けなきゃいいものを、チンギス・ハーンを象徴する簡潔にしてしかもカッコイイこのフレーズ、よほど使いたかったんでしょうね。それもこれも、井上靖の小説がハルキ文庫から出版されていないので、森村誠一を原作に担ぎ出したりするものだから、というなんともお粗末な楽屋落ちのせいであります。
まんまと原作料を頂いた森村誠一さんは、井上靖全集の編纂、出版に私財と余生をなげうって捧げて頂きたいとは思いますが、「天平の甍」「風林火山」といった簡素でインパクトのあるタイトルを冠する能力に長けた井上氏に比べ、とりあえず「~の証明」と付けてきた自身のみすぼらしさを再確認するハメになるので、きっとやらないでしょうけど。

そんなどうでもいい人物のことはさておき、映画についてです。

オリバー・ストーンの『アレキサンダー』は、かの大王が両刀使いだったかのように描いたわけですが、今作ではかの皇帝がマザコンだったかのように描いてます。
「だったかのように」というのは、前者はかつてアレキサンダーに知古を得たプトレマイオス、後者はテムジンの母・ホエルン、と、どちらも「主人公をよく知っていたある人物の回想」という形式をとっているからです。
回想形式だからマズイ、というわけではありません。
たしかに、「主人公をよく知っていた人物の回想」形式だった『UDON』は、非常にマズイ代物でした。回想形式にしろ、人称形式にしろ、どれを採用するかによって描写の制限に影響を及ぼす重要な選択わけです。しかし、あの映画は回想を物語のオチに使うだけで、その形式が持つ制限なんぞにはお構いなし、という安易な採用しています。
これいったい誰の回想なの?と思うようなナレーションや場面を見てしまうと一気に萎えてしまうのは、もしかしたら、当ブログ管理人がただの偏執者なのかもしれません(ちなみに、平日朝7時には家を出なくてはならない勤め人の身分なので滅多にお目にかかることはないのですが、もしかしたら我知らず視覚障害者向けの副音声に切り替えてしまったんじゃないかと思ってしまうくらい、誰が喋ってるのかわからないけれど登場人物の心情までも細やかに解説してくれる、受信料問題を抱える某テレビ局が毎朝8時15分から放送している番組は「連続テレビ小説」であって、ナレーションは小説の「ト書き」にあたるわけで、目くじら立てて怒るのはお門違いというものです)。

そんな偏執者(変質に在らず)ですが、今作のナレーションはさほど気に障ることはありませんでした。ホエルンが直接見聞きしなかったことは「~だったといいます」「~だったことでしょう」と、語尾がちゃんと伝聞や憶測として語られていたからです。
そんな脚本を手掛けたのは、中島丈博氏。あの「真珠夫人」や「牡丹と薔薇」の脚本も書いた方です。今作を「父親が誰なのか定かでない息子を巡る親子三代にわたる物語」と考えれば、「ドロドロ愛憎劇」作家の起用は膝を打つ選択であります。テムジンが許婚者と再会するあたりとか、テムジンが敵の女性を戦利品としてではなく戦士としてあつかったと思いきや「戦地を離れれば・・・」とチャッカリ頂くあたりとか、中島ワールドが垣間見られます。ただし、かつて「たわしコロッケ」を創出した中島氏ゆえ、騎馬族の物語なら「馬糞コロッケ」という期待するのは間違いです。

ところが、ですよ。今作にはもうひとり脚本家が名を連ねています。
丸山昇一氏です。
丸山氏、といえば、ハードボイルドな、といいますか、男クサイ作品をよく手掛ける方であります。ドロドロ中島とカチカチ丸山氏、まるで牡丹と薔薇・・・ではなくて、水と油のようなご両人。しかも、ひとりが書き上げた脚本をもうひとりが加筆訂正とかではなく、共同執筆とのこと。
このご両人がどんな共同執筆ぶりだったのか、見たい、知りたいものであります(実は、某サイトにその模様の一部が書かれてましたが、どこだか教えてあげません)。

そんなご両名の脚本を得て今作の最大のウリは、オール・モンゴル・ロケによるスペクタクルな戦闘場面でしょう。
『天と地と』の時のような隊形へのこだわりが垣間見えるその場面は、たしかに、物量と人海に目を見はりはしますが、いざ合戦が始まるや人馬が巻き起こす砂埃にまみれてよく見えなくなってしまうのでした。
おそらく撮影時に角川氏が口繁く注文をつけた、もしくは監督を脇へ押しやりテムジンよろしく陣頭指揮を執ったであろうことが窺えるその隊形に関しては、それがどう有効な戦法なのかの説明がなされていないので、「兵法」とか「戦国武将」とか「経営学」とか「三笠書房」とか「PHP研究所」に興味をお持ちの方なら楽しめたのかもしれませんが、ただのしがない映画好きの管理人には、見渡す限りの広い場所での戦闘場面にイマイチ面白味を感じませんでした。

むしろ、一方、物量も人員も多くはないドラマは部分を堪能しました。
それが屋外の場合、必ずといっていいほど斜面に場面が設定されています。背景の差異でショットの切り替えしが際立つからでしょうか。どの方向にカメラを向けても変わりばえのしない平地で繰り広げられた合戦場面のスカスカぶりとは大違いです。
あるいはテムジンとボルテが幼き日以来の再会を果たし、ふたりきりとなるシークエンスで、互いの感情の昂ぶりをそのまま体現するかのように持続し、抱き合うことを契機にアップへと繋ぐショットの的確さはさすがであります。
監督の澤井信一郎氏に今作の「作法」をお伺いしたいものです。

それにしても、蒼き「狼」なのに、どうして映画の最初と最後に現われた動物は「●●」なんでしょうねと思いつつ、クイズです。

問1:実はチンギス・ハーンだったという説がある日本の歴史上の人物は?
 A.武蔵坊弁慶
 B.源義経

正解はこちらのランキングサイトに。

問2:北海道の郷土料理「ジンギスカン」。その由来の俗説として正しくないのは?
 A.1980年代に「ジンギスカン」や「めざせモスクワ」等のディスコ・ソングをヒットさせたアーティストたちの好きな料理だった。
 B.ジンギスカンが各地に遠征する際、手近だった羊を用いて、好んで食べたた料理だった。

正解はこちらのランキングサイトに。


◆こんな記事を読んで頂いたのに、さらにお願いするのも申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、こちらのランキングに清き一票あるいはこちらに怒りの一票を◆

スポンサーサイト

コメント

執筆していないのに

まだ記事書いていませんが、
絶対におもしろくないと思って見に行ったので、
結構ましでした。

  • 2007/03/27(火) 01:07:50 |
  • URL |
  • 猫姫少佐現品限り #SFo5/nok
  • [ 編集]

ご無沙汰でした^^;

にらさん、お久しぶりですー!(^^)
この映画、誰が見てもお金かけてることだけは
わかりますよね。。。。
けど正直私は全く心動かされるシーンが
無かったんですよね~(TT)

久々TB頂きまーす!

  • 2007/04/24(火) 20:30:53 |
  • URL |
  • cremama #YrGnQh/o
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

蒼き狼 地果て海尽きるまで(映画館)

私は、あなたの息子として死ねるでしょうか?

  • 2007/03/16(金) 16:01:14 |
  • ひるめし。

「蒼き狼 地果て海尽きるまで」映画感想

角川春樹事務所製作の超大作ですね、モンゴル建国の英雄にして世界史上最大の帝国を

  • 2007/03/31(土) 01:22:51 |
  • Wilderlandwandar

蒼き狼 07077

蒼き狼 地果て海尽きるまで2007年   澤井信一郎 監督  原田徹 セカンドユニット監督  角川春樹 制作総指揮  森村誠一 原作反町隆史 菊川怜 若村麻由美 袴田吉彦 松山ケンイチ Ara 野村祐人 保阪尚希 榎木孝明 津川雅彦 松方弘樹コーエー(光...

  • 2007/04/03(火) 02:04:48 |
  • 猫姫じゃ

蒼き狼 地果て海尽きるまで [監督:澤井信一郎]

馬がうろうろするのを遠巻きに写すだけの戦闘シーンがやたら何度も何度も挿入されるだけの、どうしようもなく退屈な歴史大作。金かけてる割に内容が極限までない巨大ハリボテ映画。ある意味角川映画の完全復活。80年代に還ったみたいだ!!

  • 2007/04/10(火) 00:48:00 |
  • 自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ

「蒼き狼 地果て 海尽きるまで」試写会 

最近お気に入りの松山ケンイチも出るし、お友達のオススメもあって、絶対観よう!と思っていた「蒼き狼 地果て海尽きるまで」の試写会に行った。どうでもいいけど、題名長いよ。

  • 2007/04/20(金) 00:03:17 |
  • ノルウェー暮らし・イン・ジャパン

映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 試写会にて

監督:澤井信一郎 原作:森村誠一出演:反町隆史 、菊川怜 、若村麻由美 、Ara 、袴田吉彦 、松山ケンイチ 公式サイトママの評価:☆☆☆★★構想27年、製作費30億と言う巨額を注ぎ込み作られた「蒼き狼 地果て海尽きるまで」。この手の超大作で、しかも...

  • 2007/04/24(火) 20:33:24 |
  • 渋谷でママ気mama徒然日記
トラックバックURLはこちら
http://nekohita.blog6.fc2.com/tb.php/239-5a5f41a2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。