ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

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『サッド ヴァケイション』

「教科書にないッ!」『Helpless』に続き、ウサギの名は、もちろん「Qちゃん」。

07100101.jpg


(執筆完了して、佐渡島で休暇中)


やはり、こんな人にハマちゃんの奥さんがつとまるはずもないよなぁ、と思わせてくれる石田えりさんのインパクト。

とはいうものの、最後の出演作は番外編の『釣りバカ日誌スペシャル』で、しかもハマちゃんがミチコさんの浮気を疑って鬼と化すという、シリーズにおける最初で最後の登板だった森崎東監督による異色作だったわけで、そんな嫉妬深いハマちゃんの元から逃げ出したと考えると、今作の石田えりさんがミチコさんとなんとなくリンクしてしまうのでした。

そんな石田えり扮する千代子という存在は、すべてに寛容であるおおらかな「母性」の具現なのか、それとも、あらゆるものを飲み込み利用する極めて自己中心的な「女」なのか、あるいはそのどちらでもある現代の「鬼子母神」なのか。

今作は『Helpless』の続編ではありますが、千代子に近い女性像となると、むしろTVドラマ「私立探偵・濱マイク」の青山真治監督が手掛けたエピソード「名前のない森」に出てきた鈴木京香演ずる「先生」を思い浮かべてしまいます。
「名前のない森」では参加者が名前ではなく番号で呼ばれる「自己啓発セミナー」に濱マイクが潜入するのですが、それは、偽名で働く人々が集う今作の「間宮運送」に似てなくもありません。
ただし、「自己啓発セミナー」には、中村嘉葎雄さんのような存在はいないんですけど。


ここまで読み進めてきて、あちらもハマちゃん、こちらもハマちゃん、と気付いてしまったた方もみえると思いますが、まぁ、ダジャレみたいなもんですから、あまり本気になさらないでください。


今作のいびつにゴツゴツした感じが、なんとも心地よいのでした。
浅野忠信演ずる主人公にしてみれば、死の淵まであと一歩に追いやられるところから始まり、小さな幸せを積み重ねつつも、不協和音に浸食され、カインとアベルのギリシア悲劇を思わせるエピソード、そして・・・という、波瀾万丈、不条理に満ちた浮き沈みのてんこ盛りであります。
沈みつつも、そこに石田えりの微笑やら、オダギリジョーと登る山やら、斉藤陽一郎と光石研のドツキ漫才やらが差し挟まれることで、感情移入なんてつまらないものをせずに済みます。


それにしても、冒頭のシーンのただならぬ薄暗さ、であります。
コップ酒の置かれた夜の防波堤の、その向こうの海上、ギリギリ見えるか見えないかくらいに闇の中からぬっと船体が浮かびあがるとき、今、紛れもなく映画館で映画を見てるんだという気持ちにさせてくれます。


ところで、浅野忠信がアチュンを乗せて疾走する、あの自転車。そのハンドル前に据えられた金網カゴのカクカクとした四角っぷりもはなはだしい、あの自転車。
『ユリイカ』で役所広司がまたがったドロップハンドルの自転車とは全く違うものの、昭和の匂いが漂うという点では同じでありました。
あれ以降、出てこないのが残念ですが、それ以上に残念な内容のこの記事を読んでガッカリしたら、こちらを、あるいはガッカリどころかウンザリだったらこちらをクリックしないほうがいいと思います。
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コメント

存在感~

にらさん、TBありがとうございましたm(__)m

普段はそう感じない浅野忠信の存在感も、オダジョーと二人の演技になると不思議にその存在に輝きが(笑) 石田えり姉さんはデビューの頃から好きですが、この映画ではその魅力が全開していたとは思えませんでした(悲)
アチュンはいずこへ(笑)?

cyazさま

浅野とオダギリ、なんだかアニキと舎弟みたいでした。次回作では、ふたりでタッグを組んで、関門海峡をクラゲで埋め尽くす「アカルイミライ」が訪れるらしいです。

アチュンくんは、「岡倉」という中華料理店で強制労働させられて、「渡る世間は鬼ばかり」とボヤきつつ、「えなりかずき」と名乗っているそうです。

時系列が混乱しているのは、気のせいです。

  • 2007/10/03(水) 21:31:32 |
  • URL |
  • にら(悲しき管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

堪能しました。

『サド ヴァケイション』に座布団一枚。(笑)

この映画、
数少ない何度もリピートしたくなる映画の一本になりました。
それにしても福岡に生まれてよかった。
でなければ、あの映画のセリフ、
少し分かりづらかったでしょうね。
斉藤陽一郎と光石研のシーン、最高です。

  • 2007/10/03(水) 23:10:22 |
  • URL |
  • えい #yO3oTUJs
  • [ 編集]

えいさま

「がばい」やら、「東国原」やらで、注目されるのとはまったく異なる文脈で現れた今作に、頭うっつらかされました。

光石&斉藤の長廻しシークエンスですが、他のお客さんはちっとも笑ってなかったんですが、もしかしたら喧嘩してると思ってたのかもしれません(笑)。

  • 2007/10/03(水) 23:33:21 |
  • URL |
  • にら(よかろうもんがぁ管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

サド・いや~んバカ~んション★

いやぁ見てないのにコメント書いてすいません。
この絵があまりにも好きでついつい・・♪

>偽名で働く人々が集う今作の「間宮運送」に似て
私のブログに毎日入るスパムTBが、全部『間宮兄弟』に来るんですよ・・

  • 2007/10/18(木) 02:56:47 |
  • URL |
  • とらねこ #.zrSBkLk
  • [ 編集]

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感想/サッド ヴァケイション(試写)

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  • 2007/10/03(水) 11:22:52 |
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