ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『パーフェクト・ストレンジャー』

ハル・ベリーのすらりと長い脚に見とれていると、ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない───。

07100601.jpg



『プレステージ』もそうでしたけど、「驚愕のラスト」みたいな宣伝方法はまだまだ有効なようで、同じ週に封切られた映画の中で最も興行成績が良かったのが今作でした。
予想外のオチだったとか、真犯人が途中でわかっちゃったとかで面白いとか面白くないとか決めつける人を否定もしないし、「驚愕のラスト」という宣伝から興味を抱いて劇場に足を運ぶことが軽薄だとも思わないし、むしろそれを見たいと思うヒトのほうが健全な反応のはずだし、だから、配給会社がそうした扇情的な宣伝方針を執ることも非難するつもりはありませんが、ただ、今回はちょっとやりすぎじゃないでしょうか。

上映時間という映画の外で流れる現実の時間を秒数まで指し示す惹句のせいで、観客をミスディレクションへと誘うように(それが成功しているかどうかは別として)築かれた映画内の時間の流れとは一切関係なく、時計をチラリと見ることで、まだその指定の時間に達してないことが、瞬時にわかってしまいます。
犯人がわかったとかわからなかったとか、その一点に個人的価値判断を置いているわけじゃないとはいえ、映画の内容とは関係なく、時計とにらめっこすることで「7分11秒よりも前に、真犯人がわかっちゃったもんね」とうそぶく輩がいるかもしれないと思うと、べつに実害を蒙るわけではないとはいえ、なんとなく憂鬱な気持ちにさせられてしまいます。
しかも、今作の日本版ホームページに紹介されている「キャスト」はたったの4名。コロンビアが製作した作品を本国の半年遅れで日本に配給することになったとはいえ、ブエナビスタのこのやり方はあまりに杜撰であります。

そんな今作は、脳内の視覚を司る細胞から視神経、そして眼球の水晶体を通ってハル・ベリーの瞳孔から体外へと抜けるCGのショットから始まることからわかるように、「見る」ことについての映画です。
「見る」には2種類あります。写真や絵を「見る」ことと、書かれた文字を「見る(読む)」こと。
続くシークエンスで、ハル・ベリーは上院議員に対し、雑誌の見出しに使うと称して写真を3枚見せます。そこにキャプションを添えてゆくことで、同性愛を容認する法案に反対する立場の上院議員自身が同性愛者であることを告発します。
彼女にとっては、「見る」ことよりも「読む」ことが重要であることが分かります。

ある目的のためにハル・ベリーはブルース・ウィリスを誘惑するのですが、その第1段階がチャットという文字を「読む」ことでコミュニケーションをはかる方法でした。
チャットという仮想の誘惑を経て、現実の誘惑に成功するきっかけが、ニューヨークにある「ヘミングウェィ・ダイキリ」というカクテルを提供する16店を書いたメモだったわけで、ここでも「読む」ことで彼女は自らの立場を有利にします。

一方、「読む」ではなく「見る」ことは、彼女を窮地に立たせます。
ウィリスに気づかれないようにパソコンの電源を落とそうとするシークエンスは、彼女のパソコンのモニターを彼が「見る」ことを阻止するためです。
カクテルのメモを渡すシークエンスも、社長室に侵入した彼女をウィリスが「見る」ことで窮地に陥った際の、それを切り抜けるためにあらかじめ用意された「読む」だったわけです。

ウィリスが携帯のメールを「読む」ことで、彼女が窮地に陥るシークエンスもあるじゃないかと言われるかもしれませんが、その後の展開を踏まえた見方によっては、あれも意図的に利用したとも思えなくもありません。

冒頭とは逆に瞳孔から入って脳内に達する過程を描くCGによるラストショットの直前に起きたことは、今作が「見る」ことに「読む」ことが負ける作品だという証左なのではないでしょうか。


と、あまり書くとネタばれになり兼ねないので、話題を変えまして、実は、真犯人捜しなんかより、ハル・ベリーの脚に見とれました。
というより、ハル・ベリーの脚にばかり見とれてて、どんな話だったのか忘れました。

女性の下着メーカーかなんかの発表会かなんか(脚に見とれてうろ覚え)で来場者に配るお土産を、事前にハル・ベリーが手提げに詰めながら同僚の女性に社内の人間関係を教えてもらうというシークエンスのあと、作業をほぼ終えたことを示すショットが、ハイヒールを履いてるハル・ベリーの脚を床に置かれたいくつかの手提げ越しに捉えたローアングルから始まるとか、元カレに会いに行くため(と、後でわかる)勝負下着を穿くショットとか、これでもか、と脚を強調されれば、見ないわけにいかないじゃないですか。

なので、前述の、パソコンの電源をこっそり落とせるかどうかという、物語上ではスリリングなシークエンスが、その方法として床に転がったコンセントを靴を蹴り脱いで足の指先でまさぐらせるために設けられたとしか思えず、その原因となる「ある画像を間違ってスクリーン・セーバーに設定してしまう」箇所から、どんなふうに脚を見せてくれるのかという物語上とは別のスリルを抱きつつも、笑い転げてしまいましたよ。


ちなみに、どうでもいいことなんですが、今作の撮影監督は、見たことを誰かに記憶から消し去ってほしいと思わせてくれる強烈なオチだった『フォーガットン』を撮ったアナスタス・N・ミコスでした。
スポンサーサイト

コメント

こんにちは。

>ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない───。

普通に考えるとラスト何分ってな感じで見ている人はいないと思います。始まってから何時間何分の方がよかったかも・・・

  • 2007/10/09(火) 06:57:01 |
  • URL |
  • ぷくちゃん #-
  • [ 編集]

TB

にらさん、おひさしぶりです~♪
9月のエントリーを拝見しましたら、にらさんがご覧になった映画はどれも未見です(笑)
ブログをおやすみされているのかと思ったら、観ていた映画が違っただけでしたかね~

>ハル・ベリーの脚にばかり見とれてて、どんな話だったのか忘れました

(≧∇≦)ノ彡☆ははっ、それ最高~

予告のくだりは、私も随分と自信たっぷりだな~っと思いましたが、あれだけ言ってしまったらかえって叩かれる率が大きいと思ったので、よっぽど自信があるのだなと思ったら、普通でしたね~
あのキャッチフレーズによってかえって深読みしちゃうとやっぱり、なぁ~んだっというある意味驚愕の?ラストという感じで、「大山鳴動~」なかんじでたのしめました(笑)
そう言うのを予測していたとすれば、それってもしかしたらうわてよね~っと思ったわたしでした・・・

  • 2007/10/09(火) 23:56:43 |
  • URL |
  • rikocchin #mQop/nM.
  • [ 編集]

TBさせていただきました♪

私自身もハル・ベリーの脚にはついつい目がいってしまいましたねw
この演出はある意味、広告での宣伝より意図的ではないでしょうか?一番のミスディレクションへの技法に思えてしかたがありません。

  • 2007/10/10(水) 19:46:36 |
  • URL |
  • dai #3/VKSDZ2
  • [ 編集]

こんばんは、セシルというものです。

この映画、私も観ましたが違う意味で騙されました。無理やり秘密や謎を詰め込んで、犯人も途中からわかってしまい、余裕でトイレに行きました。かなり、期待していたのですが・・・。

ハル・ベリーは、確か41歳のはずですが若い!足のキレイさもさることながら、髪がロングで可愛い!彼女を観る映画ですね。

勝手にリンクさせていただきました。また、遊びに来ますね。

  • 2007/10/15(月) 00:14:54 |
  • URL |
  • セシル #-
  • [ 編集]

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

「パーフェクト・ストレンジャー (PERFECT STRANGER)」映画感想

チネチッタのポイントで只券をゲットしたので、気になっていたけど余り評判の良くない

  • 2007/10/08(月) 01:08:07 |
  • Wilderlandwandar

パーフェクト・ストレンジャー

 パンフレットに「結末に触れています」と書いてありますが、いやいや。全部書いて

  • 2007/10/09(火) 07:01:20 |
  • eclipse的な独り言

「 パーフェクト・ストレンジャー/ PERFECT STRANGER(2007) 」

【 パーフェクト・ストレンジャー 】9月29日(土)公開 監督   : ジェームズ・フォーリー

  • 2007/10/09(火) 23:56:21 |
  • MoonDreamWorks★Fc2

パーフェクト・ストレンジャー

An Exaggerated Advertisement【Story】新聞記者のロウィーナ(ハル・ベリー)は、幼なじみのグレース(ニッキー・エイコックス)が殺された事件を調べることになる。ロウィーナは、グレースが広告代理店のCEOに

  • 2007/10/10(水) 19:41:51 |
  • Memoirs_of_dai

パーフェクト・ストレンジャー

 ハル・ベリーとブルース・ウィルズという、なんとなくありそうでなさそうな組合わせ。  スキャンダル記者ハル・ベリーの友人が殺され、その真相を突きとめるべく、もっとも疑わしい広告会社社長ブルース・ウィル

  • 2007/10/17(水) 05:54:53 |
  • シネクリシェ

☆『パーフェクト・ストレンジャー/PERFECT STRANGER』 ☆

本作でなんといっても良かったのは、マイルズ役のジョヴァンニ・リビシ。いつもそうなんだけど、何かに取り憑かれたような表情が堪らなく妖しげ。彼が出ているだけで、きっと何かやってくれるに違いない!って期待させてくれる(^^)

  • 2007/10/23(火) 07:29:56 |
  • honu☆のつぶやき ~映画に恋して~

パーフェクト・ストレンジャー 観てきました。

 この映画は、仕事帰りなど頭が疲れている時は避けた方が良いかな、体調が万全な時ではないと・・・。と思っていたらこんなに遅くなってしまいました。問いわけで今回はパーフェクトストレンジャーです。 今回はいつも映画館ではなくユナイテッドシネマ豊洲のレイトショー

  • 2007/10/25(木) 03:20:50 |
  • よしなしごと
トラックバックURLはこちら
http://nekohita.blog6.fc2.com/tb.php/248-abed141b
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。