ハリウッドスターというと、女性も憧れるニコール・キッドマンやキャスリン・ゼダ・ジョーンズやケイト・ベッキンセールみたいな、見ただけで満腹のゴージャス西洋美人だったり、肉感的なアンジェリーナ・ジョリーやブリトニー・スピアーズ、シャロン・ストーン(ちと古いか)やマリリン・モンロー(もっと古いぞ)みたいに、男子中学生のオカズだったりというイメージがあります。
しかし、人はパンのみに生きるにあらず、さらに、オカズのみに生きるわけでもありません。
それに、とびきりの美人でもセクシーでも金髪でもない、と言ったらジュリア・ロバーツだってそうでしょ。
物語の大筋は、前作で親友になったミス・アメリカの友人が誘拐され、それをFBI捜査官のブロックが救うというもの。
それってちょっと公私混同なんじゃない?、と思わせないように、ブロック嬢には、前作でミスコンに潜入捜査した際にテレビに映って面が割れてしまい、潜入捜査ができなくなり、やむなくFBIの広報、いわば「ミス・FBI」になるというお膳立てが用意されています。つまり「ミスFBIがミス・アメリカを救う」という、「ワンダーウーマンがスーパーガールを救う」というか、「『猟奇的な彼女』が『僕の彼女』を救う」というか、「『マジンガーZ対デビルマン』が『グレートマジンガー対ゲッターロボ』を救う」って、なんだかよくわからないけどすごいことになっているとだけ感じ取って頂ければ結構です。
しかも、FBIの潜入捜査官が『マイ・フェア・レディー』というか『プリティー・ウーマン』な目に逢うというのが前作でしたが、続編ではその構造をひっくり返して、「ミス・FBI」という女性の頂点から転がり落ちる軌跡を描いてます。
それゆえ、前作でキーマンだったマイケル・ケインは出ていません。そのかわり硬派だったケインとは逆に、軟派というかノリがいいというかノリ過ぎの美容コンサルタントが配役されています。逆の逆ってコトは、よく考えたらありがちなキャラに納まってしまったのはご愛嬌。
さらに、前作でロマンス芽生えた同僚マシューズも出てきません。まるでキアヌの出なかった『スピード』の続編みたいですが、プロデューサーも兼ねてるブロック嬢、同じ轍は踏まぬとばかりにジェイソン・パトリックなんかはキャスティングせず、レジーナ・キングという黒人女性を相棒に持ってきます。しかも役名が<サム・フラー>って、潜入捜査=『ショック集団』、危険な(凶暴な?)女性=『裸のキッス』、というのは勝手な思い込みですから気にしないでください。
誘拐事件解決のため、舞台は虚飾の街ラスベガスへ行くわけですが、前作がミス・コンという虚飾の世界でしたから、そのあたりもしっかり踏襲してます。
コメディー映画ということもあって色鮮やか、しかもシネスコの幅広サイズなので、空港に降りる飛行機を捉えてパンするとラスベガスの町が見えるという空撮はちょっとドキドキしました。同じホテル・ベラッジオを舞台にした『オーシャンズ11』とは違った一面を見せてくれる撮影監督はピーター・メンジーズJrです。FBIラスベガス支部の特捜本部室の壁はハチノス模様でなんだか007の敵アジトみたい。そんなセットに、紫色の照明を当てちゃってさらに異様な笑える効果を出してます。
そんなセットに立つ誘拐事件捜査主任役はトリート・ウィリアムズ。余談ですが、って余談ばっかりですけど、エイズで亡くなられたブラッド・デイビスとついつい間違えちゃいます。ただでさえ憎々しい役が多いトリート・ウィリアムズの憎々しさが引き立つのは、誘拐犯を除いた他の男たちがナヨナヨしたヤツばっかりの世界だからかもしれません。
もしかしたら、誘拐犯たちも実はハード・ゲイだったりして。
サンドラ嬢がドラッグクイーン・コンテストが行われているクラブに潜入捜査して「女装」までするハメになるのも、そんな去勢されたような男たちに囲まれているせいです。もしかしたら本人もニューハーフ顔の自覚があるのからかもしれませんが。
そのコンテストが「勝ち抜きモノマネ歌合戦」形式で、モノマネされる有名人は、その方面での有名人なので、その方面に興味のある人は、ぜひ見てお勉強しておきましょう。バーブラ・ストライサンドはいませんでしたけど、サンドラ嬢がちょっと似てるからかもしれません。ほら、サンドラって名前も似てるでしょ。
ちなみにドリー・バートンはソックリさんだけでなく、ご本人まで胸を揺すって登場でするどころか、貧乳捜査官に馬乗りにされて揉まれちゃったりします。こちらも、また別の方面の興味をそそりそうですが、その方面も別の方面も個人的には深入りしたくない方面です。
それにしても、この映画の監督ジョン・パスキンスって、脚フェチなんでしょうか。
例えば、夕食の準備をしつつ同僚マシューズを待つシーンで珍しく黒っぽい色のタイトなミニスカ履いて女の子っぽいところもあるのねと思ったら、膝をパカッとしかも中腰で開かせたり、そのマシューからお断りの電話が来て手が放せないため、脚でレンジの扉を閉めるためにおマタおっ広げさせたり。または、「ミス・FBI」としてテレビ出演するシーンでは、さらに短いボディコンなワンピースを着せて、『氷の微笑』のようにカメラに向かって脚を組ませてみたり。
さらに、格闘シーンでは、男の頭をサンドラ嬢が脚でカニバサミするという、なんともうらやましい、って書くとまるで秋本鉄次氏みたいですが、しかも、そのときはスカートすら履いてない脚丸出し状態です。
もちろん、脚以外も見所たくさんの映画ですから、配給会社からは日本版のホームページすら作られないという扱われ方だからと色眼鏡で見たりせず、いろんな方面の方をお誘い併せのうえ劇場へどうぞ。
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