ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

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「デビルマン」

やはり『ビー・バップ・ハイスクール』の、ということになるんでしょうが、那須博之監督の遺作を、先日やっとDVDで見ました。

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かつて「テレビマガジン」に連載された「ガルラ」が、ムー伝説からイスラム文化まで取り込もうという小学生向け雑誌にあらざる壮大なスケールを予感させつつ、「第1部~完」という形で打ち切りになってしまった永井豪をリアルタイムで知っているどころかいまだにトラウマになっている者としては、にっかつでデビューしたものの、成人指定ではない劇場公開作(『ろくでなしBLUES』を除く)の全てがアニメ版「デビルマン」を手がけた東映で、しかもその多くがコミックの映画化だったとはいえ、那須監督に今作はあまりにも無謀すぎると思って、富永愛嬢に後ろ髪引かれつつも公開当時は劇場鑑賞を見送ったのでした。

那須監督の奥さまであらせられる真知子女史の脚本は、一切その理由を示さぬままオトナが自らのコドモを殺しまくる光景をコドモの視点で描いた傑作短編「ススムちゃん、大ショック」をも汲み入れて、永井氏の<狂気の世界観>を構築していました。さらにアニメ版「デビルマン」の最終話にも似た「ヒロイン・マキちゃんに自らの正体を明かす」シーンもあって、ふと落涙してしまいました。

ところが、そうした陰惨さとして提示されるはずの数々のエピソードが、消化し切れず軟便として排出されているかのようにダラダラ垂れ流されていることそのものが、下痢症状を追体験させられているようで、苦痛以外のなにものでもありません。
そこにはとても2時間以内に収まるはずがないサーガな物語を、製作側からの要請で2時間以内に収めなくてはいけなかったであろう苦悩もあるのでしょうが、かつて「目指すは香港映画」を標榜していた那須監督なら、脚本の思い入れをバッサリ切るという方法もあったはずです。

それが出来なかったのは、やはり数少ない東大出身監督の自負でしょうか。

いまさらこんなこと書くのは故人に失礼かもしれませんが、映画化された『ビー・バップ・ハイスクール』は、那須監督作品より、原作者のきうちかずひろ監督作品のほうが勝っていると思ってます。
その前作であり初監督作品でありながら劇場で公開されなかった東映Vシネマの『カルロス』は、公式批評で北野武作品の亜流と叩かれたものの、個人的には、その間の取り方の異様なほどの執着と、東映映画史への言及さえも見られて鳥肌立っていたものでしたが、それを凌駕するかのような『ビー・バップ~』は、北野作品はおろか、那須監督がオマージュを捧げたであろう『けんかえれじい』とも異なる世界への着地を果たしていました。
こんなことを書くと未見の方は「まさか」と思われるかもしれませんが、原作マンガのテイストにより近いのは、那須監督作品のほうなんです(実はVシネマがヒットした流れで東映はVアニメというオリジナルビデオアニメのレーベルを打ち立てたのですが、そこで製作された『ビー・バップ~』が原作に最も近い、というより原作マンガのエピソードをアニメで再現しただけですけど)。きうち監督作品のほうは、原作マンガの登場人物を使ってはいるものの、再構築された世界観はあまりに陰惨で残酷で、マンガとは全く別物に仕上げています。
そのためか、友人からの伝聞によると、原作マンガを支持する人は、那須作品を支持するらしいです。
その証拠に、きうち監督作品が劇場公開されたあと、監督に一倉治雄、成田祐介、伊藤裕彰が起用されて、原作マンガのテイストを持つ『ビー・バップ~』シリーズが東映Vシネマ・レーベルで16本も作られました。全て見たわけではありませんけど。
憶測ですが、きうち版が作られたのは、そのシリーズを作るにあたって、「それなら、原作のきうちクンに監督やらせたら相乗効果になるんじゃない?」という広報的意味合いと、原作者へのサービス程度のつもりだったんじゃないでしょうか。その結果は、こちらにしてみればそれこそが快哉を叫びたくなるところなんですが、製作者の意図と原作及び那須版のファンの期待を裏切るものだったわけです。
とはいえ、黒沢満プロデューサーのおかげだと思いますが、その後も数本のきうち監督作品が作られました。しかし、そのキャスティングから全国公開されてしまった『共犯者』の興行的失敗のせいでしょう、沈黙を余儀なくされています。


てなわけで、ものすごく遠回りしちゃいましたが、陰惨であり残酷でありつつも男同士のファンタジーを描けるきうち監督こそ、同業者の永井作品『デビルマン』を撮るべきで、そしたら那須監督ももう少し長生きできたんじゃないかという気がします。


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コメント

久しぶりに

この記事をTBさせていただきました。
この映画『デビルマン』には感謝しているのです。
どこかの掲示板で紹介されたらしく、
その日のアクセス数が9000IPと異常に伸びてしまいまして・・・その日のgooランキングで2位になったのです(それ以前は100位あたりだったと記憶してます)。
他に原因は見当たりません。
今の『ネタバレ映画館』の地位があるのも『デビルマン』のおかげ!
『デビルマン』ばんざい!!!

  • 2005/09/16(金) 18:43:22 |
  • URL |
  • kossy #YaTS71PM
  • [ 編集]

kossyさま

そうなんですか『デビルマン』。
ウチもその1/100、いいえせめて都道府県の数くらいアクセスあるとうれしいなぁ。
できれば、褒めてる映画のときに(笑)。

ちなみに、酷評のわりに、レンタルではそこそこ回転しているようです。

  • 2005/09/16(金) 23:13:20 |
  • URL |
  • にら(管理人) #-
  • [ 編集]

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デビルマン

 公開前から酷評ばかりのこの作品。確かに主演二人の演技力と脚本には目を覆いたくなるものがあった。 元々は原作デビルマンを始めとする永井豪のSF感が大好きなので、こうなれば“良かった点”を一つでも多く見つけてあげようという気持ちにさせてくれました。永井豪が石

  • 2005/09/16(金) 18:39:33 |
  • ネタバレ映画館

-

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  • 2010/08/09(月) 00:40:41 |
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