ねこのひたい~絵日記室<ネタバレなしの映画評?>

 ~ネタバレなしでも、読めばガッカリ~

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怪獣ガギグゲゴ

あるヒトが書いた、なんで怪獣の名前ってガ行なの、って意味のタイトルがつけられた本を読みました。
怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか/黒川伊保子

これは怪獣に関する書物ではなく、「ことばの(音の)サブリミナル・インプレッション」についての本です。
結論から言えば、特殊な状況をさも一般論のように語ることをファシズムと呼ぶなら、まさしくファシストの書いた本でした。
本のタイトルは、編集者が考えたものなのかもしれないので、それをとりあげて非難するつもりはありません。しかし、「人気怪獣の名前には必ず濁音が入っている」と序章で書きつつ、後半に怪獣ではないガンダムの例を多く取り上げているのはおかしい気がします。そして、怪獣というものを日本のお茶の間に普及させた「ウルトラマン」には濁音がないことを「わざと」書いていません。

個別に記述された各子音についての考察にもそれは言えます。

「K音には、硬さ+強さ、曲面+回転、乾き+スピード感の三つの質が、互いに弧の関係で(依存関係なしに)共存している」として、擬音・擬態語の例を引きます。カチカチ、キリキリ、クルクル、カサカサ。
でも「クチャクチャ」は引用しません。

「T音には、固さ+強さ、中身の詰まった感じ、湿度+粘性」として、チカチカ、タプタプ、チャラチャラ、タラタラ、チラチラ等を引用してますが、「トボトボ」は書いてありません。

そもそも、コトバというのは、いろいろな子音と母音の組み合わせなわけですから、K音もT音もある程度は混ぜ合わさざるをえないはずです。そうした確率論を無視して単音の傾向を分析することに果たして意味があるのか疑問です。

あるいは、トマトジュースについて、キリンよりカゴメのほうが売れていることを、その企業名の持つ音の感じのせいだとしていますが、そこには、カゴメがトマトケチャップの国内シェア第1位だという記述はされていません。

コトバの音について語ってると思えば、日本語では同じラ行でもRは曲線があるから女性向でLは男性向けって、いきなり視覚野にすりかえていることもあります。
事象をその「音」という単一の切り口から分析するより、複数の視点で分析するほうがいいに決まってますが、その根幹にあるのが「男と女」という性差に関する偏見なので、いくらもっともらしいことを言ったってダメです。どうやら数年前にベストセラーになった「話を聞かない男、地図を読めない女」で展開された「男性脳、女性脳」という似非理論に感化されているらしく、それがトンデモ本だったらしいことを考えると、言わずもがなな気がします。

また、母ではなくママ、幻想ではなくファンタジー、という英語を褒める記述をして、その舌の根も乾かぬうちにマニュフェストって政党公約よりぬるいわね、だし、英語は劣ってて日本語って素晴らしいわ、なんて後半で書いてます。

ここまで非難しておいて、あえて隠しても意味がないので、本のタイトルは「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」で著者は黒川伊保子女史、と明記しますが、コトバの持つ音としての印象を理論化しようという試みは素晴らしいと思いますけど、それを展開させる手法が本末転倒なものであるため、説得力がないばかりか不快感を抱かせます。

普段ならこの手のインチキは、細川女史と同様、別の話題の中のひとネタとして取り上げる程度で基本的には放ったらかしにしておくんですけど、なぜここまで執拗に非難するかといえば、先日、運の悪いことに「世界一受けたい授業」を見てしまったからです。
それは黒川女史2回目の出演なのでした。
たまたま運悪く、1回目の出演を見てしまった時は、テレビを消すという冷静な対処ができたのですが、今回はそうもいきませんでした。
なぜなら、映画についての分析をしていたからです。
正確ではないかもしれませんが「2005年の上半期は、不安な社会情勢を反映して優しい音感を持つ母音が含まれたものが好まれる傾向にあった。『いま、会いにゆきます』がヒットしたのは、母音主体で構成されたタイトルだから」という論旨の戯れ言を申しておりました。
でも、怪獣の名に使われるという「G」の音がタイトルに入った『ハウルの動く城』に負けてますよ。さらに、「吐き出すブレイクスルー音」の「D」で始まる『電車男』も、映画に留まらないキーワードになりましたけど。しかも、『いま、会いに行きます』は2004年10月公開の映画です。

さらに、原因と結果をごちゃ混ぜにする詭弁をも駆使するのですから、タチが悪い。
「不安な社会情勢」だから「母音が好まれる」のならなんとなく納得できます。「母音が好まれる」から「不安な社会情勢」になるって言われても、「山を動かしてわれわれを押しつぶさなかった、アラーの神に感謝しよう」ってのと同じで、それを納得するには宗教にも似た心酔が必要です。

宗教のことは、さておいて。
とにかく、映画を財布の肥やしのネタにすることが許せません。しかも、その威を借りながら、誤った認識を人に植え付けるなと言いたい。
テレビの場合もそうでしたが、著作である「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」にも、ありました。
「人生の中で、想像を超える音というのを聞いたことがあるだろうか?(中略)映画で描かれる、見たことのない世界の、見たこともない扉が開く音にも、私たちは洋の東西を超えて共通の納得を得る。すなわち、この世のものは、すべて私たちの脳にとって「それらしい」音をしているのである。」
バカを言うな、という書き方は黒川女史によれば「一人の人間として友情で怒っている」ということになるらしいのですが、アンタと友達になった覚えもないしなろうとも思わない、って言ってやりたいと思った人もひとまず落ち付いて読み進めましょう。
映画の音というのは、人々が納得できる音をわざわざ付けているんです。
その昔、黒沢明が『椿三十郎』で刀で人が切られるシーンに、実際に肉を切った音ではなく、濡れ雑巾を板に叩きつけた音を付けたのは有名です。
また、同じく刀の例ですが、光を反射する音なんて聞こえないのに、いまだにアニメでは「キラーン」なんて音付けてます。

「それらしい音」というのは、音と現象の因果関係を理解した上で言えることだし、あらゆるメディアの洗礼を受けてそれをスタンダードとする歴史を経た現代だからこそ、あっけらかんと言える程度のことです。
もしも、平安時代の人にチョークで黒板をこする音を聞かせたら「それらしい」って言うんでしょうか?「貞子が出てくるみたい」って言うんでしょうかってんだ。

ここから先は、個人攻撃の領域に踏み込んでしまうのですが、写真やテレビに映る黒川女史そのものが気に入りません。
その●●●く●●ることのない●●だけの●●に生理的嫌悪を感じます。
抽象的理論を示して具体例を聴衆に引出させた時に●●るあの●●は、その●●が加わることで、●●を●●してることがよくわかり、吐き気すら催します。
ということで、著作ではなく個人を攻撃したことで名誉毀損に問われて吐き気どころか●●に耐えられぬあまり●●で●●●してしまったことにより刑事告訴されて●●●に●されてはかなわないので、紳士的に伏せ字してみました。
もし万一、ご本人のお目に留まることがあれば、ご自身の著作の理論(といえる代物でもないのですが)を応用と実践を試みる意味で、「●」の箇所にもっともふさわしいサブリミナル・インプレッションを持つ言葉をいれて、ご自身の理論(というより●●の●●だと思ってますが)で激しい心的外傷を受けつつも自らの正しさに陶酔するという二律背反で被虐的悶絶に陥るがいいさ、この●●●●●●●●●●で●●●●●●●●な●●●●●●●●●●●●●●●!

そんな黒川の最新書籍は2005年9月発売の「音相で幸せになる赤ちゃんの名づけ」だそうで、やっぱりそういう地点に辿り付いていたのでした。
その調子で、ぜひ、細木女史の後釜を狙ってください。
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コメント

私もよくわかりません。

面白いですな。
「ことば」を職業にしているお方が「私は、ことばのフェティシズムなのだと思う。」といった、不思議な文法を使っちゃいけませんぜ。

試しにこの方の随筆を読んでみました。
こそばゆい。
自分にとって気持ちのいい言葉が、他人にとっても気持ちのいい言葉であると思っているようです。
テレビでこの方の授業を受ける機会がなかったことを僥倖だと思います。

  • 2005/09/24(土) 14:18:04 |
  • URL |
  • あむろ #y.6mc9WE
  • [ 編集]

あむろさま

1ページ読むごとに、床に叩きつけて、ツバを吐きかけ踏みにじってしまうので、ちっともはかどりません。
おまけに、途中で製本がバラバラになり、叩きつけるたびにページを揃え直さねばならず、おかげでますます不快感を募らせて頂くことが出来ました。

黒川女史が、今後どんなオコトバを吐いて、集めたお布施をなにに使おうが知ったこっちゃありませんが、映画にだけは近寄るな、と忠告しといてください。

  • 2005/09/26(月) 14:18:34 |
  • URL |
  • にら(管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

トラバありがとうございます

なかなか舌鋒鋭いですね;
最近流行の擬似教養本の一種として気軽に読んだら、私はけっこう楽しめました。もっとも「世界一受けたい授業」は、ちょっと見ていて恥ずかしくなりましたけどね。(この番組は全体的にそういう傾向がありますが)
書くほうも面白半分なのでしょうから、面白半分に読めばいいと思っていましたが、こうも取り上げられると勘違いする人も出てきますね。それはちょっと心配かも。

  • 2005/09/27(火) 11:44:59 |
  • URL |
  • 斉 #-
  • [ 編集]

斉さま

たしかに、序章の段階で、真剣に受け取ってはいけないと判るように書かれた本ですよね。
中学生にしてはかなり大きいと思われるムスコの身長体重は具体的数値でさりげなさを装いつつ書かれてるのに、音象を数値に置き換える際の関数については適当にごまかしてるあたりとか、「どうだ、ウチのラーメンはうめぇだろ」と自慢しつつ「でも、秘伝のスープに入れる材料は教えねぇよ」ってこっそり●ンコの毛をむしっては入れてるラーメン屋のオヤジみたいで、ほほえましくもあります。
とはいうものの、あからさまなウソを根拠に映画に関するネタを、人目につくところで披露してたんで、不幸なことについ怒ってしまったんです。

しかし、ネットでこの本に関する記述を検索してみたところ、好意的な人が多かったんですよ。内容も内容だし、出る杭だったらそれなりに打たれてるはずだと思ってたんですけど、あまりにも意外でした。
テレビという媒体の影響力なんでしょうか。

それとも、こちらが思ってるほど黒田伊保子という杭は出てないんでしょうか。
そこでgoogleで検索したこのバカ本の結果件数を確認したところ、本日現在約2.3万件でした。たしかに「ねこのひたい」の900弱よりは多いとはいえ、「ガンダム」の293万件よりは、はるかに低い数字です。
だとしたら、ここで騒いで人目についてしまうより、このままひっそりやり過ごしたほうが良かったのかもしれません(笑)。

てなわけで、コメントありがとうございました。

  • 2005/09/27(火) 15:49:05 |
  • URL |
  • にら(管理人) #lcbXb0/Q
  • [ 編集]

こっそりのぞきにきてたいへん失礼をいたしました。さらもTBまでいただいて恐縮しております。
黒川せんせーは「世界一受けたい授業」に出ていらっしゃったんですか。あの番組は「さおだけ屋~」がベストセラーになった山田真哉さんが出演したのをきっかけに見るのをやめました。本も読まずにお手軽に知識教養を得ようとするその根性が気に入らないんですものw

  • 2006/03/24(金) 15:02:24 |
  • URL |
  • しょーじ(の) #-
  • [ 編集]

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